成長市場のパワー半導体 三菱電機(株)に聞く
今後の課題と可能性

三菱電機株式会社
パワーデバイス製作所 応用技術統括
山田 順治 氏

ネプコン ジャパン 事務局 RX Japan
2023年6月2日

9月に開催が迫る「第2回ネプコン ジャパン [秋] - エレクトロニクス開発・実装展 - 」。今回は同時開催カンファレンスにご登壇いただく三菱電機(株)パワーデバイス製作所 応用技術統括 山田 順治氏のインタビューをお届けします。当日カンファレンスでお話いただく内容はもちろんのこと、今後さらなる成長が期待されているパワー半導体の課題や可能性についてなど、興味深いお話をたくさんお聴きしました。

講演内容について

― さっそくですが、まず最初に2023年秋に開催されるネプコン ジャパン [秋] のカンファレンスでのご講演内容についてお聞かせいただけますか。

山田  今回の講演では、パワー半導体モジュールの技術についてお話しします。
今、パワー半導体モジュールの市場はさらなる成長が見込まれていますが、それにはどのような背景があるのか、また成長の過程でどのような課題がみえているのか、そしてその課題解決には何が必要なのかなどについてお伝えしながら、みなさんとコラボレーションできることはないかを探っていければと思っています。

― ちなみにパワー半導体が現在抱えている課題を解決するためには、具体的にどのような対策が必要なのでしょうか。

山田  たとえばチップの最新化ですね。シリコン (Si) と炭素 (C) で構成される SiCを使用したり、パッケージ材料をより信頼性の高いものに変えていったりなど、今度の講演ではそのあたりの最新情報もお伝えしたいと思います。

 

成長市場のパワーデバイス半導体について

― パワーデバイス半導体は、現在、成長市場とのことですが、それにはどのような背景があり、具体的にどの分野が伸びていくと言われているのでしょうか。

山田  やはり成長の大きな背景としては「脱炭素」という社会全体の動きがあると思います。
分野としてはやはり内燃機関ですね。今は、二酸化炭素をできるだけ排出させないエネルギーが求められています。その流れの中でたとえば現時点では、小型の乗用車などがどんどんEV化されてきていますが、今後は、建機や船、さらには飛行機などより大きな乗り物においても電動化が進んでいくと見込まれています。
そして、そのような状況を踏まえてパワー半導体が伸びていくというふうに宣言されているわけです。

― なるほど。ではパワー半導体は今後、部品や材料や作り方など、どこに競争分野があるのでしょうか。

山田  もちろんパワー半導体は、ある程度外形などに規格がある上でそれぞれのメーカーが製造しているため、有名メーカーであればいわゆるカタログに書けるようなスペックに大きな差は生まれないのですが、その分、これからはユーザー目線の使いやすさや、技術のサポートという部分で差別化をして伸ばしていくべきだと思っています。


三菱電機の強み

― その中でもパワー半導体分野における三菱電機の強みはどこにあるのでしょうか。

山田  まず当社は、パワー半導体モジュールの歴史が長いので、さまざまな応用技術を知っているというところに強みがあると思います。最終的にパワー半導体は、パワーエレクトロニクスの中に入って電気をコントロールすることになりますが、その中でどういう使われ方をするのかを知っていることは強みです。当社の中には、家電やインバーター、エアコンやエレベーターなど、パワーエレクトロニクスユーザーがたくさんいますので、そこに直接話が聞けるという部分は大きいでしょうね。

 

講演の受講を特にオススメしたい方とは

― 今回「ネプコンジャパン[秋]」展にはいろいろな方々がご来場されると思いますが、その中でも特に講演を受講していただきたいという方はいらっしゃいますか。

山田  パワー半導体モジュールは、樹脂、金属、セラミック、ゲル状のものなど、パワーデバイスの中でも多種多様な材料をうまくすり合わせることで構成されているパワーデバイスです。
先ほど申し上げたように、これからはより長寿命であったり、より信頼性の高いものへと改善していかなくてはいけません。そのためにも日本の材料メーカーが得意とする技術をどんどん吸収していきながら、うまくすり合わせていく必要があると思っています。
だからこそぜひ、材料メーカーさんや装置メーカーさんに講演を聴いていただいて、何かコラボレーションできることはないかということを探っていただければ嬉しいです。

 

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